『ドナルド・キーン著作集』別巻について 1 [ドナルド・キーン]
『ドナルド・キーン著作集』別巻について 1
父の一周忌の命日「黄犬忌」のちょうどその日、2月24日に、『ドナルド・キーン著作集』の16冊目、最終巻(別巻)が刊行されました。
私にとっていろいろな思いがあり、ようやく、遅きに失した感がありますが、何回かに分けてご紹介させて頂きます。
2011年に第一巻が発行されてちょうど10年かけて、最初の予定では15巻まででしたが、16冊目の別巻で完結しました。
最後の一冊は、非常に残念なことに父は手にとることもなく、泉下に下りました。
これまで完璧な著作集を編集して下さった新潮社、そして担当編集者の堤伸輔さんを始め、宮西忠正さんら多くの編集に携わって下さった方たちに心より、父とともに感謝の言葉をお伝えしたいと思います。
全集と言わず著作集となったのは、全集となると父の場合英語の著作も非常に多く、それらも加えなければいけないこと、父にとっての傑作、大作、労作である『日本文学の歴史』を加えなければならなかったことがあります。
それらを加えたら40巻から50巻くらいにはなったのではないでしょうか。
堤さんは、松本清張の編集者や情報誌『フォーサイト』の編集長などもつとめられた極めて有能な編集者でしたから、父にとっても大きな幸せで、編集作業にあたって資料のはいった重そうな鞄を持って来られて、いろいろと質問されることををいつも楽しみにしていました。
この最終巻は、オビにもあるとおりドナルド・キーンの全貌を見渡すことのできる、最高の一冊です。
これこそ、キーン先生の全てです。
by K.K (2020-08-10 13:10)
ありがとうございます。そうですね、年譜や著作目録、著作集の索引にいたるまでまさに父の全てと言えるでしょう。
by 越後 角太夫 (2020-08-10 15:46)
この本の後半がキーン先生辞典のような索引になっているのには,驚きました。講演の原稿も文字化してデジタルになれば素晴らしいです。あの本にも書かれていた方丈記はまさに今回のコロナの時期に読むのにぴったりでした。不安の時代にもキーン先生の古典からのメッセージは乗り越える力強い助けになると思います。
最初の方に日本人は奇数を好むという文章がありますが,中国からの陰陽五行思想からと私はガイド試験の勉強で習った記憶があります。重陽の節句とか奇数は陽の数で陽数の極である九が重なるから重陽の節句という風に,五月五日,三月三日などおめでたい日は奇数になっていたりもその影響だと。
キーン先生が影響を受けたアーサー・ウエイリーに関しては『アーサー・ウエイリー 『源氏物語』の翻訳者』(平川祐弘 著 白水社)は良かったです。
by 小林英子 (2020-08-10 18:43)
暑い中更新下さりありがとうございます。
キーン先生の偉大さを知ることができました。
by 和田純子 (2020-08-11 09:00)
本の最初の部分がキーン先生にしてはやや大雑把な印象も受けました。日本人のルーツもDNA等解析進んできていますし,日本の住居も縄文時代から時代と共に変遷していて,日本建築をひとくくりに説明するのは難しいのでは。P.16「日本人は寺を作る場合も町の都市計画をやる場合も,いつも右の方に傾くか,それとも左の方に傾くかで,まったく同じような均衡をとることはない」とありますが,日本庭園と海外の庭園を比較では事実ですが,都市は京も江戸も,風水にのっとって造られ,江戸は富士山を北にたとえ90度反時計回りにし,北が神田川,東が隅田川,南が東海道,西が富士山。北東の鬼門が浅草寺,神田明神,南西の鬼門が増上寺,山王権現と言う風に,街づくりをしたそうなので,右とか左で分けるのは違和感を感じましたがキーン先生の視点は独特だなぁと思いました。そこがまた面白いのですが。
by 小林英子 (2020-08-12 21:02)