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『黄犬交遊抄』(岩波書店)について [ドナルド・キーン]

『黄犬交遊抄』(岩波書店)について

2月13日付けで発行された岩波書店の『黄犬交遊抄』についてお話させて頂きます。

若くて優秀な岩波書店の編集者の岩元浩さんから初めてお手紙を頂いたのが、確か2017年4月頃だったでしょうか?今手元にその手紙がないのではっきりしませんが。

その後、『弘知法印御伝記』のロンドン公演などがあり、初めて岩元さんにお目にかかったのが7月初めだったと思います。

岩元さんからの手紙と初対面で好感を持った父は、岩波書店から自身として初めての本を出して頂くことを、直ぐにOKしたと思います。

8月末か9月初めには軽井沢に、岩元さんに来て頂き、構成や掲載する原稿などについて話し合いがあり、それから後も二度ほどお目にかかって話し合ったでしょうか?正確にいつお目にかかってどんな相談をしたかは、過去のメールを検索したり、またはスケジュール表を見たりしないと分かりません。

いずれにしても大まかな構成や掲載する原稿についてはすべてではないですが父は了承しました。

そして父の没後、翻訳者の角地さんと教え子のジャニーン・バイチマン先生のご協力を得て、編集会議を開いて細かく相談し詳細を決め、出版に至りました。

『黄犬交遊抄』のタイトルは試行錯誤の末の決定ですが、この本に相応しいタイトルです。ドナルド・キーンの人との交流、文学との交流、人生における交流、あらゆる意味における交流が本の内容だと思います。

父にとって一番新しい原稿は岩波書店の『波』に掲載された「雨」と親友のテッド・ドバリーについてのエッセーだと思います。前者は2018年4月頃、後者は2017年夏に軽井沢で完成したと記憶しています。

他にも翻訳されて初めて掲載されたものもありますし、また既に翻訳され発表されていたものを角地さんが文体を揃えるために翻訳し直したものもあります。興味深い未収録の講演も含まれます。

いわば専門誌にしか発表されていなくて実際上は初公開というものも多くあります。

そういう意味で貴重ですし、ドナルド・キーン自身の意向をくんだ最後の著書ともいえる重要な本だと思います。

父もきっと天国で楽しみにしていたと思います。

装丁も岩元さんが、美しい黄色いクロスで手触りもとてもよく、父好みの品のよい装丁に仕上げて下さいました。

帯も幅広の特別な感じのするものです。

内容も装丁も素晴らしいと、きっと父も喜んだと思います。

まえがきは、父と長いつきあいのあった翻訳者の角地幸男さんが「キーンさんとの時間ーまえがきに代えて」として私の知らない頃の父を愛情をこめて書いて下さいました。

そして「いつも二人でーあとがきに代えて」を私が父の本文の後に22ページほど書かせて頂きました。私なりに父のことをかなり踏み込んで書かせて頂いたつもりです。

お手に取って頂けたら幸いです。

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ピら手

こんにちは。
雨のエッセイ大好きです(^^)
本にも掲載されて嬉しいです。
素敵な本で、先生もお喜びですね!

続々と先生の新刊が出て嬉しいです。
by ピら手 (2020-03-05 09:00) 

越後 角太夫

一周忌を機に6冊の本が、新刊または復刊されましたが、そういう作家は非常に珍しいと言われています。確かにそうかもしれません。本当にありがたいことです。
父も喜んでいるでしょう。
徐々にご紹介させて頂くつもりです。
by 越後 角太夫 (2020-03-05 11:06) 

和田純子

一周忌を機にして6冊の本が出版されたとは凄いですね。私は
「黄犬交遊抄」の装丁が素晴らしく、品のある本だと思いました。
友達に送ったら、とても喜び、日本の為に尽くされて感謝しなければいけないと言われました。本当にそう思います。
大勢の人に読んでいただきたいです。
by 和田純子 (2020-03-05 20:01) 

越後 角太夫

お友達にまでプレゼントして頂き、大変ありがとうございました。
大勢の方に読んで頂きたいものです。
by 越後 角太夫 (2020-03-07 15:30) 

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