松浦武四郎1 [ドナルド・キーン]
松浦武四郎1
父の近著『日本を寿ぐー九つの講演』に松浦武四郎についての講演(タイトルは、「松浦武四郎を読んでみて」)がありました。
当ブログでもちょっと話題になりました。
朝日新聞の「続百代の過客」に、「松浦武四郎北方日誌」を連載したことでこの講演を主催者から依頼されたと思われます。
朝日新聞に連載した時に読んだ本が、父の本棚に並んでいます。
『松浦武四郎紀行集』(上、中、下:冨山房)がそれです。
全部読んだとは限りませんが、かなりの部分を読んだ形跡があり、特に執筆の対象となり参考としたところは例によって下線やメモがあります。
また松浦武四郎のデッサンは、おもしろくてうまくて、観察力もあって感心してしまいます。
表紙の裏に、このように、読んだ頃の年月日や場所が書いてあることもあります。父の独特な筆跡でDonald Keene Tokyo December 1986とあります。
十勝日誌の部分,随分と熟読された跡がありますね。「アイヌの方々が醸したお酒は「鬼殺し」とも言えるお酒。 我々はみんなお腹を下していたけれど,トイレは戸外の丸太2本で,雨の中,犬が寄ってきて不潔で嫌だった」ような内容でしょうか。あの当時の旅は,道も整備されてなく,大変な行程だったと推測します。松浦武四郎はチャレンジ精神があった方だったと思います。
ラジオの文芸評論で伊藤整は明治の文壇史だけで18巻書き,その他小説やら評論やら翻訳やらもたくさん残しておられるのを聞きました。キーン先生は文学史をまとめるのに,こうした文学者の小説その他を調べるのに,どれだけ根気強く沢山本を読まれたのか,想像を絶する世界です。
by 小林英子 (2021-07-15 22:46)
父が日本語を読むスピードと言ったら信じられないほどでした。まさかそれだけ多くの量の本を日本語で読んだと、信じない人も多くいたようです。英訳で読んでいたと思っていたようです。それを面と向かって言われる方も何人かおられたようですが、父はそれに対して反論することはありませんでした。
小林さんの知識には、恐れ入るばかりです。伊藤整さんも父に感謝の気持ちをいつも示してくださった人のおひとりだったと思います。
by 越後 角太夫 (2021-07-15 23:06)
『日本を寿ぐー九つの講演』は読ませていただき、本当にキーン先生は本を沢山読まれているのですね。
何時寝ていたのでしょうね(笑)
小林様はいろいろな事に詳しいので、講演会を開いて皆様にも知って欲しいことが多いです。
by 和田純子 (2021-07-16 08:53)